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  3. 冒険しよう。AMU VENTURE.

2021年春にリニューアルしたJR熊本駅の核として開業した商業施設、アミュプラザくまもと。開業コンセプトとして掲げられた「冒険しよう。AMUVENTURE.」を旗印に、熊本出身の漫画家・尾田栄一郎氏の冒険マンガ”ONEPIECE”とコラボレーション。劇中に数多く登場するキャラクターたちの名台詞を使ったティザー“宝探し”キャンペーンを開業の半年前より開始し、開業へ向けてテレビCMやSNSなど様々なメディアを複合的に展開。開業日には多くの来場客を集めることができました。2016年に発生した熊本地震、2020年の熊本豪雨、そして現在も続くコロナ禍の中、熊本に久々に訪れたポジティブなニュースは、熊本の人たちに勇気と希望を与えることとなり、本プロジェクトはそれを大きく後押しすることができました。

熊本の人々の心を、如何に駅に向けるか。

2021年春。リニューアルしたJ R熊本駅の中核として開業した商業施設、アミュプラザくまもと。その開業プロモーションを考えるにあたって、まず大きな課題であったのは、如何にして熊本の人々の興味を駅へ向けるか。というのも、熊本の人々が主に買い物をしたり遊んだりする場所は、下通りというアーケード街を中心とする「マチ」と呼ばれるエリア。そこから熊本駅は2.5km離れており、周りに大きな商業施設などもなかったため、電車に乗る目的以外で日常的に駅へ行く人はあまり多くおらず、そのため熊本駅が変わる、というニュースを熊本の人々は自分に関係のあることとして受け止めてくれるかどうか、話題にしてくれるかどうか、足を運んでくれるかどうか。そのため、県民の皆さんの意識を変革することをまず、念頭において企画作業に入りました。

コンセプトは熊本らしさにあった。

熊本の人たちの意識醸成を行うにあたって、どのようなメッセージが熊本の人たちに響くだろうか。キーとなったのは、熊本には“わさもん精神”という「新しいもの好き」という言葉があったこと。事実、熊本はファッションの聖地と呼ばれることもあり、昔からオシャレな人たちの間では話題になることも多い街でした。また、2016年の熊本地震、そして2020年の熊本豪雨、そしていまだに続くコロナ禍を見据えた上で、ポジティブで元気の出るメッセージの開発が必要だと考えられました。そこで掲げた言葉は「冒険しよう。AMUVENTURE.」ファッションも冒険と捉え、また地理的に九州の真ん中である熊本駅を起点に、様々な場所へ冒険に出かけて欲しい。そのような想いでこの言葉を開業プロモーションの中心に据え、様々なキャンペーンを仕掛けることにしました。

漫画「ONE PIECE」とコラボレーション。

さらに、そのメッセージをエネルギッシュに表現してくれるシンボルとして、熊本出身の漫画家・尾田栄一郎氏の冒険マンガ“ONEPIECE”とコラボレーション。まずは開業に先立つこと半年前の2020年秋から、ティザープロモーションを熊本駅を中心に行うこととなりました。ここで留意したのは、コロナ禍であるため人を一か所に集められないこと。そこで駅全体から熊本全体へと広げられる宝探しプロモーション「AMUVENTURE WORDS PROJECT」を企画しました。ここでは、ONEPIECE劇中に数多く登場するキャラクターたちの名台詞を“宝”と見立て、それを駅の構内や通路、土産品売り場などに散りばめました。その名言たちは駅を飛び出し、熊本市内や県内の観光施設や電車のラッピングなどへも展開。大小計およそ200箇所の場所で、冒険を彩る“熱い”言葉たちが掲出されました。同時にSNSを通じて、台詞の画像を投稿するキャンペーンなども行い、数々の写真・名台詞が個人のアカウントで、あるいは施設の公式アカウントから発信されました。

©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

そして、大冒険は続く。

そして迎えた、2021年の4月。熊本の人々の姿とともに、ONEPIECEの名台詞が登場するコンセプトムービーを公開。そのままルフィたち麦わらの一味を起用した開業ビジュアルを使った新聞広告、交通広告やテレビCMを放映し、開業直前の盛り上がりを演出しました。そのCMのナレーションはもちろん、ルフィ役の声優・田中真弓さん。開業日には尾田栄一郎氏描き下ろしのイラストを焼成した陶板を、新しい駅のシンボルモニュメントとして公開。
コロナ禍でもあり、入場制限はありつつの船出となりましたが、多くの人々にご来館いただき、またキャンペーン自体も多くのメディアに取り上げられ、熊本にとって久々の明るく、ポジティブなニュースとして発信されました。何よりも最初に懸念していた、熊本の人たちが「電車に乗るわけでもないのに、わざわざ駅へ行く」という現象が起こせたことと、熊本を訪れる観光客を含めた、駅とアミュプラザくまもとを訪れる人々の冒険は、今も続いています。