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九州発『今まで誰もやっていないことをやる方法!』教えます。

 右:大西俊輔氏(QPS研究所代表取締役社長CEO)
左:鈴木亨(電通九州代表取締役 社長執行役員)

いまビジネスとしての宇宙がアツくなっています。宇宙ビジネスの市場は、2019年が約40兆円でした。

40年には100兆円に到達するそうです。伸びているのは、衛星やロケットの製造ではなくソフトウェアで、通信、放送、気象など生活に密接する分野です。今後有望なのは宇宙データで、衛星データを使った、リアルタイムな状況把握サービス、未来予測サービスが多く開発される見通しです。すでに、金融、保険、エネルギー、電機、建設、コンサル、放送など異業種プレーヤーがたくさん動いています。成果を勝ち得るには、デジタルと同じく早く動くことが条件ではないかと考え、電通グループもアクションしているところです。

ところで宇宙からデータを送ってくれるのが人工衛星です。衛星も小型化・軽量化・高性能化が進んでいます。中でも地元九州の㈱QPS研究所(本社福岡市:代表取締役社長CEO大西俊輔氏)は、世界に4社しかないSAR(サー)衛星の会社です。SARとは、簡単に言えばレーダー衛星のことです。通常、多くの衛星はスマホと同じく光学カメラを搭載しています。衛星といえば24時間いつでも撮影しているイメージがありますが、地球の約75%は夜間または天候不良のため、光学カメラでは制約があるのです。一方、SAR衛星は地表にマイクロ波を照射します。レーダーは、雲を透過し、明るさも必要としないので、昼夜・天候に関係なく撮影可能です。

SAR衛星は小型化が難しかったのですが、QPS研究所はブレークスルーを果たしました。小型・軽量だとその分打ち上げやすくなります。現在2機が宇宙を飛んでおり、22年に4機を打ち上げ、最終的に36機のコンステレーション(複数の衛星をひとつのシステムとして運用すること)構築が目標です。この体制によって地球のほぼ全地点を10分に1回撮影することができるそうで、いわばリアルタイムのグーグルマップが実現します。なおQPS研究所のSAR衛星の部品の約7割は九州で製造されています。素材、加工、データ処理など、様々な地元企業と共創関係にあるそうです。これは「九州に宇宙産業を根付かせる」というパーパス経営を体現するものです。

そんなQPS研研究所のCEO大西俊輔さんと鈴木社長が対談しました。小型SAR衛星へのチャレンジ、会社の成り立ち、今後の計画など、お話を伺っています。

題して『今まで誰もやっていないことをやる方法!』大公開。  

(対談の一部をダイジェストで掲載します。フルバージョンはWEB電通報へ)

鈴木社長:QPS研究所のミッションは、「宇宙の可能性を広げ、人類の発展に貢献する」とされています。また、バリューとして、「本質的でオリジナルなコト・モノを、クレイジーな思考で取り組むことにより、人々をワクワクさせる」とありました。この「人をワクワクさせる」が素敵で、夢は大きい方が実現したときに幸せになる人が多いです。

大西氏:「誰もやったことがないことをやる」その下地が、九州にはあると思います。日本の宇宙開発の黎明期だった1970年、日本の大学や企業が集まって「L-4S」というロケットをつくり、「おおすみ」という日本初の衛星を打ち上げました。その頃は、宇宙企業などなくて、色んな企業や研究者が持ち寄った技術を組み合せて作ったのです。(会社創業者であり、大学の恩師である)八坂先生もこの一人でした。八坂先生はこの「組み合せの力」を経験的に知っていたので、宇宙機器の製造経験の有無にはこだわらずに、九州の製造業や研究者に声掛けをしました。それで「チャレンジする人」が集まってきたのです。宇宙開発をやったことがなくても、それぞれは光る技術を持っているから、どうすればよいかを議論していった。そのアイディアはクレイジーでいいのです。そのうちベクトルが噛み合って、欲しいものができる。これが、わたしたちの強み、九州の強みだと思っています。

鈴木社長:衛星データは、災害やインフラ管理はもちろんですが、地上のビッグデータと掛け合せることで新しいサービスを生み出すことができるのではないでしょうか。電通グループは、「Integrated Growth Partner 顧客や社会の持続的成長のパートナーになる。」という目標を掲げています。事業アイディアを出し伴走する、構想を実現するという目標です。例えば、電通グループが保有する生活者データやシステムと、SAR衛星による“宇宙の目”を組み合わせて、企業の持続的な成長をお手伝いできるのではないかと考えています。

大西氏:地上にどんな出来事が発生していても、衛星はいつでも変わらずデータを取得できます。圃場(※農産物を育てる場所)でも災害現場でも、「ふかんで見る」ことは大事です。2号機は、21年1月にスペースXのロケットで打ち上げました。コロナの渦中で移動制限があり、あまり動けない状況の中、「遠隔地の情報を得るために、衛星はとても大事なものだ」と改めて実感しました。また、お話のように衛星データは、需給連携や需要の創造においても重要なピースになると思います。

鈴木社長:社会にネガティブな空気が流れている中で、人々をワクワクさせてネクストステージに進めるような、勇気を与えるプロジェクトをひとつでも多くやりたい。特に、九州という地域社会の発展のために。共に、動き出しましょう!

《あとがき》
人工衛星で話題になったのは、イーロンマスク氏率いるSpaceXのStarlink(スターリンク)。ウクライナへの無償提供が大きく報道されたのでご存じの方も多いと思います。世界中の人々へのネット環境の提供を目的に、すでに1万を超える人工衛星を打ち上げています。数万、数十万といった単位で衛星が打ち上がるとどうなるか、ロケット開発の㈱インターステラテクノロジズ(本社:北海道大樹町)の創業者、堀江貴文氏はこう語っています。(※発言は、2021年10月17日に福岡市内で開催された「FUKUOKA SPACE EXPO 2021」(主催:福岡青年会議所)のもの。筆者要約)

「衛星の増加に伴って、指数関数的に衛星を使ったサービスが増えます。防災や通信も大事ですが、市場を大きくするのは、娯楽など“不真面目な用途”です。ネット産業と同じです。」「30年前はスマホやアプリもないから、インターネットがいかにすごいかを想像で語るしかなかった。宇宙も同じです。産業としてインターネットのように、いやそれ以上になるでしょう。」
 

(当社が制作。ミッションマークとは、衛星やロケットの打ち上げ毎にマークを作成し、関係者が身に着けるもの。宇宙業界のプロトコルとなっている。)
 

宇宙データは、わたしたちの暮らしや楽しみに密着し、そうと意識せずに使うようになると思われます。こうなると、ブランディング、メディア、広告、スポンサーシップなど従来領域はもとより、AXやDX、新しいビジネス創造のための協業、事業シナジーを求める投資や相手先との価値交換など、仕事のフィールドは、大きな広がりを見せます。

これからのビジネスは異種格闘技です。新たな価値を創造するには、SAR衛星のように、様々な得意技を持った人が集まり、力を合わせることが条件ではないでしょうか。読んでくださりありがとうございました。当社はビジネスのフロンティアに挑戦してくれる仲間を絶賛募集中です!またご意見もお待ちしています!☞ご意見・ご感想はコチラまで。