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デジタルコンテンツで話題性と売上を実現。

南九州で生まれた、乳酸菌飲料ヨーグルッペ。九州を中心に多くのファンが存在していましたが、関西や関東では長らく苦戦。2020年の35周年キャンペーンは、売上はもちろん、全国での認知度向上も目的に実施することになりました。一昔前では、認知度や売上アップのためには、TVCMの活用が王道的な手段。いま現在はWEBやSNSなども、マーケティング活動において重要な位置づけ。一方で、高齢社会や若年層の物欲減少などで、新規顧客の獲得は困難な状況。
この社会性・時代性を鑑み、35周年キャンペーンは、長年のファンと向き合ったデジテルコンテンツを開発。企画は、パッケージに登場する女の子を操作し、宝を探すブラウザゲーム「ヨーグルッペトレジャー」。ファンが喜ぶ世界観を徹底的につくりこみました。その結果、SNSの投稿が増え、Twitterのトレンド入り。メディアによる記事化だけではなく、YouTuberのゲーム実況をLIVE配信するといった現象も。最終的な応募総数は267,732通。関東のコンビニなどで商品の取扱がはじまり、売上も前年比超えに。話題性と売上が両立し、デジタルの可能性を感じるキャンペーンとなりました。

ファンの力を信じたゲームの世界観

SNS上には、ヨーグルッペ関連の投稿が毎日あります。その大多数は、いい意味でくだらなく、ヨーグルッペ愛を感じるものばかり。このキャンペーンはそんなファンへの感謝を伝え、味方になってもらい、あわよくば友人・知人に広げてもらうことをねらい、「PLAY!ヨーグルッペ」というコンセプトを立てました。ヨーグルッペで楽しく、遊んでもらおうということです。そこで、35年もの間パッケージの “顔”である女の子を「ヨーグ・ルッペ」という主人公にしたゲームを企画。とにかくファンを喜ばせるために、現金や商品、オリジナルグッズが当たる宝探しにしました。操作は簡単、歩いて、掘って、見つけるだけ。でも、それで心が満たされるほど、ヨーグルッペのファンは甘くないはず。あの人達の投稿から、ヨーグルッペを何かしらのネタにしたいというインサイトがあると考えました。そこで、ゲームには様々なツッコミ要素を盛り込みました。

●35年前の発売当初を想起させる、8bitのゲームビジュアル
ヨーグルッペの発売当時は、誰もが8bitのRPGに夢中になった時代。その頃を思い出してもらえるように、3Dなどではなく、あえて8Bitで構築。

●緩さ×エクストリームなストーリー設定やNPCのセリフによる世界観
ストーリー設定に「アグリー」や「コミット」などの現代語が使われていたり、ゲームで遭遇するキャラ(NPC)が楽屋オチを思わせるセリフを言ったり、宝探し以外の小ネタが満載。

●超広大なフィールドなのにノーヒントで探索するという高難度
ゲームのキャラを実際の人間にすると、フィールドの広さは東京ドーム247個分。そんな場所を、何のヒントもなく歩き回らせる鬼畜の所業とも言える難度に。

●フィールドのランドマークは、宮崎県の名所や観光地をモチーフに開発
宮崎県の人はもちろん、コロナ禍で帰郷できない出身者にも喜んでもらえるよう、ランドマークはすべて宮崎に実在する場所をモチーフに。
SNSへの投稿を見る限り、このツッコミ要素を入れたねらいは的中したと言えるのではないでしょうか。宝のあり場所の情報交換をする人。ゲームで帰省した気分になった人。難度の高さに燃える人。宝探し以上の、いろんな楽しみ方をして、それをSNSで広げてくれていました。ファンの強いヨーグルッペ愛がなければ、ここまでの情報拡散は起こらなかった。そう言える現象だったと思います。

売上につなげるためのキーワード

「話題になったけれど、商品は売れてない」 「 SNSで賑わったのは1週間だけだった」
“バズ”という言葉が一般的になって以来、話題性のあるキャンペーンではよく聞こえてくる声です。今回も御多分に漏れず、そうなる危険性はありました。でも、なんとか売りにもつなげたい。話題になるだけでは失敗だ。何をすればいいのか。そのヒントは、以前、クライアントの営業さんにヒヤリングをしたことにありました。当時は、別商品のCM制作のために何が流通へのセールストークになるのかを、いろんな営業支店で聞いてまわり、その時の印象として、“シンプルな言葉で説明できること”を求められている気がしました。考えてみれば、営業さんもそうですが、説明する相手のバイヤーも忙しいはず。そこで、長々と説明が必要な広告は歓迎されるはずがありません。そこで、多くても3つのキーワードで説明できることを意識しました。

①簡単
歩いて、掘って、見つけるだけ。老若男女の誰でもできる宝探しゲーム。

②本格的
ゲームビジュアル、操作性、世界観など、本当のゲームのように徹底的なつくりこみ。

③無料
オープン懸賞なので、商品を買わなくてもできる。自由にできる。

クライアントには、この3つのキーワードで説明してくださいとは言いませんでした。営業スタイルは、人によっても会社によっても異なりますので。でも、“シンプルな言葉で説明できること”は多少の効果はあったようで、「説明しやすかった」「本格的ゲームが無料なのは引きがあった」という声をいただけました。もちろん、個々の営業さん方の日々の努力があっての結果なのは、言うまでもありません。

クライアントには、日頃から厚い信頼を感じています。今回のキャンペーンは特にそうです。牛乳の会社なのに、ゲームをつくる。一見すれば、意味不明です。そんな提案に乗ってもらい、無茶なオーダーも了承いただき、徹底的なつくりこみも任せてくれました。だからこそ、話題性と売上を両立させることは妥協したくない。そう考えて、取り組んでいたのだと思います。「ヨーグルッペトレジャー」は、2ヶ月のキャンペーンでした。でも、クライアントとの関係性はまだまだ続いていきます。(と信じてます)これからも企業・商品の成長に貢献できるよう、新しい挑戦をいっしょに取り組んでいきたいと思います。